社会福祉法人会計基準 Q&A (会計実践編)

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4.4  似たような科目

 

Q4.4.1 旧基準の「未収金」が、新基準では「事業未収金」「未収金」「未収補助金」「未収収益」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?
Q4.4.2 旧基準の「前払金」が、新基準では「前払金」「前払費用」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?
Q4.4.3 旧基準の「未払金」が、新基準では「事業未払金」「その他の未払金」「未払費用」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?
Q4.4.4 旧基準の「前受金」が、新基準では「前受金」「前受収益」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?
Q4.4.5 旧基準の「短期貸付金」が、新基準では「短期貸付金」「事業区分間貸付金」「拠点区分間貸付金」等に分かれましたが、どうして分かれたのでしょうか?
Q4.4.6 旧基準の「基本財産特定預金」が、新基準では「定期預金」「投資有価証券」に分かれましたが、どうして分かれたのでしょうか?
Q4.4.7 旧基準の「預り金」が、新基準では「預り金」「職員預り金」に分かれましたが、どうして分かれたのでしょうか?
Q4.4.8 「未払金」と「長期未払金」は、どう違いますか?
Q4.4.9 「設備資金借入金」や「長期運営資金借入金」も分けるようですが?
Q4.4.10 「差入保証金」と「長期預り金」は、どう違いますか?
Q4.4.11 誤解しやすい科目編


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4.4.1  旧基準の「未収金」が、新基準では「事業未収金」「未収金」「未収補助金」「未収収益」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?

  旧基準でも混同しているケースが多かったようです。

まず最初に性格の異なる「未収金」と「未収収益」に分けます。

未収金は、役務の提供が終了し決算日に債権として金額が確定しているものです。

(するべきことは全部終わったので、あとはお金をもらうだけ・・・という感じです。)

それに対し、「未収収益」は預金の受取利息のように、一定の契約で徐々に発生していくような収益で、決算日で区切ると発生しているけれど金額の確定は先になるものをいいます。

(まだ最後まで終わっていなくてやっている途中だけど、今までの分はこれだけもらえるよな・・・という感じです。)

次に未収金を3つに分けます。

「事業未収金」は、事業収益に対する未入金部分です。売掛金は、ここに含まれます。
「未収補助金」は、文字通り確定した補助金の未入金部分です。
「未収金」は、それ以外になりますが、事業に関係ない取引が原因ですから例外的なものになるでしょう。


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4.4.2  旧基準の「前払金」が、新基準では「前払金」「前払費用」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?

  旧基準でも混同しているケースが多かったようです。

「前払金」は、物品購入や役務が終了する前に支払ったもので手付金、中間金のようなものです。

(してもらうことは全部終わってないけれど、先にお金は払った・・・という感じです。)

それに対し、「前払費用」は年払いの保険料のように、一定の契約で徐々に発生していくような費用で、支払は済んでいるけれども決算日で区切るとまだ役務は残っているものをいいます。

(まだ最後まで終わっていなくてやってもらっている途中なので、全額払ったけどやってもらってない部分は前払いだよな・・・という感じです。)

Q4.4.2.1 年払い保険料の翌年度に対応する部分は、資産に計上すべきですか?


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4.4.2.1  年払い保険料の翌年度に対応する部分は、資産に計上すべきですか?

  多額であれば、前払費用として計上すべきでしょう。通常は、重要性に乏しい金額でしょうし、毎年度同じように発生するものですから計上しなくても結構です。


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4.4.3  旧基準の「未払金」が、新基準では「事業未払金」「その他の未払金」「未払費用」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?

  旧基準でも混同しているケースが多かったようです。

まず最初に性格の異なる「未払金」と「未払費用」に分けます。

「未払金」は、役務が終了し決算日に債務として金額が確定しているものです。

(してもらうことは全部終わったので、あとはお金を払うだけ・・・という感じです。)

それに対し、「未払費用」は借入金の後払いの支払利息のように、一定の契約で徐々に発生していくような費用で、決算日で区切ると発生しているけれど金額の確定は先になるものをいいます。

(まだ最後まで終わっていなくてやってもらっている途中だけど、今までの分はこれだけ払わなくちゃならないよな・・・という感じです。)

次に「未払金」を2つに分けます。

「事業未払金」は、事業費用に対する未支払部分です。買掛金はここに含まれます。
「未払金」は、それ以外になりますが、事業に関係ない取引が原因ですから例外的なものになるでしょう。


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4.4.4  旧基準の「前受金」が、新基準では「前受金」「前受収益」に分かれましたが、どう使うのでしょうか?

  旧基準でも混同しているケースが多かったようです。

「前受金」は、物品販売や役務の提供が終了する前に受取ったもので手付金、中間金のようなものです。

(するべきことは全部終わってないけれど、お金を先に一部または全額もらった・・・という感じです。)

それに対し、「前受収益」は年払いの受取使用料のように、一定の契約で徐々に発生していくような収益で、入金は済んでいるけれども決算日で区切るとまだ提供すべき役務は残っているものをいいます。

(まだ最後まで終わっていなくてやっている途中にお金は全部もらっちゃったけど、一部は先の分だよな・・・という感じです。)


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4.4.5  旧基準の「短期貸付金」が、新基準では「短期貸付金」「事業区分間貸付金」「拠点区分間貸付金」等に分かれましたが、どうして分かれたのでしょうか?

  事業区分または拠点区分ごとに財務諸表を作成しますから、法人内部の債権債務が分かりやすいように科目を分けました。

下記以外・・・・・・・・・「短期貸付金」
他事業区分・・・・・・・「事業区分間貸付金」
他拠点区分・・・・・・・「拠点区分間貸付金」
他サービス区分・・・・「サービス区分間貸付金」

なお、「事業区分間貸付金」「拠点区分間貸付金」「サービス区分間貸付金」は、法人の内部取引ですから相殺消去されます。
また、附属明細書の作成も必要ですから忘れないようにしてください。

同様に、「長期貸付金」も分けられました。


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4.4.6  旧基準の「基本財産特定預金」が、新基準では「定期預金」「投資有価証券」に分かれましたが、どうして分かれたのでしょうか?

  旧基準では、定期預金だけが想定されていましたが、実際には定期預金だけではなく元本保証の国債等の有価証券を保有する場合もあることから科目が作られました。


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4.4.7  旧基準の「預り金」が、新基準では「預り金」「職員預り金」に分かれましたが、どうして分かれたのでしょうか?

  「預り金」だけでも良いと思うのですが、職員分を明確にする意味で分けられました。


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4.4.8  「未払金」と「長期未払金」は、どう違いますか?

  会計的な性格は同じです。その支払期限が1年以上かそうでないかで使い分けます。


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4.4.9  「設備資金借入金」や「長期運営資金借入金」も分けるようですが?

  その通りです。 Q4.4.5 旧基準の「短期貸付金」が、新基準では「短期貸付金」「事業区分間貸付金」「拠点区分間貸付金」等に分かれましたが、どうして分かれたのでしょうか?と同じ考え方ですから読んでください。

貸付金と異なる点は、役員等に対する借入金も分けることが必要な点です。

まとめると、以下のようになります。

下記以外・・・・・・・・・「設備資金借入金」
下記以外・・・・・・・・・「長期運営資金借入金」
役員等・・・・・・・・・・・「役員等長期借入金」
他事業区分・・・・・・・「事業区分間長期借入金」
他拠点区分・・・・・・・「拠点区分間長期借入金」
他サービス区分・・・・「サービス区分間長期借入金」

なお、「短期借入金」も同様に役員等は別科目になっています。


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4.4.10  「差入保証金」と「長期預り金」は、どう違いますか?

  その性格は、全く異なります。「差入保証金」は預け入れた方ですから固定資産です。それに対し、「長期預り金」は預け入れられた方ですから、固定負債です。


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4.4.11  誤解しやすい科目編

 

Q4.4.11.1 預金の利息を雑収益(雑収入)で計上していますが、いけませんか。


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4.4.11.1  預金の利息を雑収益(雑収入)で計上していますが、いけませんか。

  雑収益(雑収入)は、他のどの科目にも属さないものを処理しますので、適当ではありません。

受取利息配当金収益(受取利息配当金収入)で計上します。


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