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検査ID 43010  通常一致すべき金額が一致しない


検査内容等

BSの期末残高において、[○○積立資産]が[○○積立金]より大きくなっています。以下のような原因が考えられます。内容を確認してください。

対処方法

理事会で議決された将来の特定の目的の費用等に備えるための積立金は、その財源としての資産すなわち積立資産を確保しておかなければなりません。一般的に、○○積立金=○○積立資産であることが必要です。不一致の場合、合理的な理由がある場合を除き、一致させる必要があります。

@○○積立資産、○○積立金いずれかの処理が漏れている場合

イ 特定の目的のために積立資産を積み立てる伝票は起こしたが、資金移動のない積立金の積立てがされていないケースが該当します。
積立ては、[50601 ○○積立金積立額/5201 ○○積立金]と仕訳します。

ロ 特定の目的のための積立てが不要になり○○積立金を取り崩したにもかかわらず、○○積立資産の取崩しがされていないケースが該当します。
取崩しは、[預金/2271 ○○積立資産]と仕訳します。

A積立資産に利息が付いた場合
積立資産が増加しますが、その時の積立金の処理については以下の2とおり考えられます。法人で、適切と思われるものを選択し、継続して処理してください。

a.受取利息と同額の積立金を積立てる。
b.積立金の金額は維持し、積立資産の受取利息分は流動資産の預金に振り替える。

いずれにしても、積立資産と積立金は同額にします。


B積立資産を投資有価証券の科目で処理している場合

積立資産として有価証券を保有している場合、それを[2241 投資有価証券]の科目で処理している場合は、当然積立資産と積立金は一致しません。
運用利回り等の理由から投資有価証券を保有していると思われますが、預金と有価証券という形態は異なるとはいえ、積立金の資金財源としての性格は同じですから投資有価証券ではなく、積立資産として処理してください。(旧基準では積立預金でしたが、新基準では積立資産になっていることも理由の一つです。)
振替は、[2271 積立資産/2241 投資有価証券]と仕訳します。
なお、非資金取引なので、[関連なし]にしてください。

C特定の理由により積立金を計上しないで、積立資産だけ積み立てる場合

「運用指針19(1)積立資産の積立て」において、「資金管理上の理由等から積立資産の積立てが必要とされる場合には、その名称・理由を明確にした上で積立金を積立てずに積立資産を計上できるものとする」と記載されており、積立資産だけが存在するケースが認められています。
具体例としては、次のようなものが考えられます。

イ 退職給付引当金の支払いのための資金を、外部(共済会等)ではなく内部(法人の積立)において確保するために、退職給付積立資産に計上する場合
ロ 借入金の担保として差し入れた定期預金を、担保設定積立資産に計上する場合
ハ 借入金の償還に備え、借入金償還積立資産に計上する場合
ロ、ハについては、将来の支出に備えるための積立てですが、将来の費用または損失に備えるためではない点が、積立金の積立を不要とする理由です。

難しくなりましたが、新基準では積立資産単独計上のケースも認められており、積立資産>積立金のケースもありうるということです。
なお、逆のケースの積立金だけがあって積立預金がないことは、認められていません。

操作方法

試算表から伝票を特定し修正する

その他の参考情報

決算日後の理事会において○○積立金の積立てが議決された場合、その決定が5月であっても、3月末付けで仕訳を入れます。
しかし、預金の移動は、必然的に翌年度になりますから、その時(翌年度)に仕訳をすると当然に決算における残高に不一致が生じます。(○○積立金が多い状態になる)
この場合は、3月中に資金移動があったように○○積立資産を積立てる仕訳を入れてください。すなわち、決算日において実態は一つの流動資産の普通預金なのですが、会計表示上は、流動預金と固定資産・○○積立資産に分かれて表示されることになります。
なお、専用の口座への振り替え(預金の移動)は、決算理事会後2カ月以内に実施してください。